この夏に、岩手県山田町で開催した、「山田の書きもの展in山田町」でのお話を少々。
会場となっていた「街かどギャラリー」は住宅街のなかにあります。
前の道路は駐車禁止になっていたため、おまわりさん、もとい、警察官の方が自転車に乗って時折パトロールにきていました。
あるとき、警察官の方がふらりとギャラリーにやってきました。
「なにやってるんですか?」
不審な者が不審な展示をしていないか確認に来られたのでしょう。
わたくし山田という者で下の名前はマチと申しましてカクカクシカジカ。
こういうのもあるんですよと、『山田商店街』のなかにある「犬のおまわりさん」というお話をお見せしました。
「犬のおまわりさん」は、山田商店街をパトロールしていた犬のおまわりさんが体の不調を訴えて引退し、商店街のただのペットとなるまでを描いたお話です。
山田町のおまわりさん、爆笑。
それから、全国80万人の山田さんで山田町を応援しようと活動する「山田町応援団」の話になったときに、彼の口から衝撃発言が飛び出しました。
「山田交番にも“山田”がいますよ」
「ええっ。山田町に“山田さん”はほんとんどいないはずでは!?」
「大分県から応援に来ているんです」
「私はまだ山田町で“山田さん”にお会いしたことがないんです。ただ“山田さん”に会いたいというだけの理由で交番に行ってもいいですか?」
「いいっすよ」
さすが山田町、おおらかです。
数日後、山田町役場の近くにある山田交番に向かいました。
「あの〜、山田さんはいらっしゃいますか?」
「私が山田です」
おおっ、若き警察官の「山田さん」!
わたくしも山田と申しましてカクカクシカジカ…希少な山田さんに会えると聞いてやってきた次第です。
山田さん、笑ってます。
山田交番の山田さんは、
「お前は山田だから山田町に行け!」
と指令を受けて山田町に配属されたそうです。
警察も粋なことをしなさる。
「山田交番の山田です、っていうと町の人にすぐに覚えてもらえるからいいですよ〜」
ですよね〜。
山田町では、山田って名前はテッパンですよね〜。
世間話をしていましたら、山田さん、うしろで書類を書き込んでいる人を指差して、
「ちなみにこの人も山田なんですよ」
ええっ!!
「あ、どうも、船越交番の山田です」
船越というのは、山田町の地区の名前です。山田駅のおとなりが船越駅。
「はじめまして、山田です」
「どうもどうも、山田です」
「私だって、山田です」
山田の三つ巴。
船越交番のおまわりさんは、花巻出身の山田さんでした。
「岩手県には“山田”が少ないんですよ。ぼくは今まで、自分以外の山田さんに会ったことがありません」
「へぇ〜」
「山田町の電話帳にもほら、1軒だけしか載ってないんですよ」
「会わないわけですよねぇ」
まさか山田町の山田交番で、一度にふたりの「山田さん」に出会えるとは。
奇跡の山田タイム。
海の近くにあった山田交番は、津波によりなくなってしまいました。
現在は仮設の建物ですが、看板やランプなどは、もともとあったものを拾い出して使っているそうです。
山田交番の山田さんをはじめとする警察官のみなさま、これからも山田町の安全をお守りください!
山田対策も、どうぞよろしくお願いします!
***お知らせ***
9月30日(日)17時〜、東京大田区の居酒屋「きさらぎ」にて、山田町応援団イベント「山田町を食べて応援しよう!」という会を開催します。
山田町直送のお魚や野菜を食べながら山田町について語らおう、という気楽なお食事会です。
山田マチもまいります。
どなたでも参加できますので、ご興味のある方は、yamadanokakimono@yahoo.co.jpまでおたよりくださいませ。