2010.08.29 Sunday 13:06

帰省。その2

 

813日、お盆。

山田家は毎年その日に、

親戚一同が仏壇前に全員集合、

ご先祖様を迎えるためにお経を唱えます。


お経はカセットテープで流すのですが、

あるじである父が一応リーダーっぽく仏壇の前に座り、

その後ろにヒラの山田家メンバーが適当に座ります。

今年も、

「さあ、とっととやっちまおうぜ!」

という父の号令のもと、読経がはじまりました。

宴の準備をしていた私は、

後ろの方にそっとすべりこんで、途中参戦。


普段は無駄に騒がしい山田家ですが、

さすがお経、

こんなときは神妙にならざるをえません。

静かに、厳かに、お経の文字を追う一同。

中盤まできて、

「なーむーあーみーだー」の単調な繰り返しになってきたころ、

私は何気なく仏壇の方に目をやりました。

するとそこには、衝撃的な父の背中が。




「いちころ」


バックプリントに、くっきりと、


「いちころ」。


ご先祖様に、なんのメッセージでしょうか。

「いちころでしたね」なのか、

「いちころで逝きたい」なのか、

バックプリントできたということは、

私たちに向かって、

「お前らなぞ・・・」

なのか。


でも知ってます。

ただの、チョイスミス!

洗濯物のいちばん上にあったのを、

ぱっと着てきただけなのでしょう。

聞くところによると、

着るものなんて全部人任せの父が、

どこぞかで気に入って自分で買ったシャツだそうです。

いちころ。

でも父よ、今日の今、それを着なくても。


イトコたちも次第に異変に感づきだし、

こみあげる笑いを抑えることができません。

厳かな読経は、やがて静かな大爆笑となりました。


ごめんね、死んだじいさん、ひいばあさん、

そして見知らぬご先祖さまたち。

父がそちらにいったら叱ってやってください。

ありゃないわ、と。


帰省のたびに、

私の腰はくだけっぱなしです。









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