ぼんやりしていたら10日くらいすぐに過ぎてしまいますね。
みなさんいかがおすごしですか?
この10日で、東京は桜が咲いて、もう散ろうとしています。
花見する間もありゃしない。
この10日のあいだで私がいちばん「ええっ!」と声をあげたのは、
「田中宥久子さん、逝去」
のニュースでした。
67歳…まだお若い…。
田中宥久子さんは、「造顔マッサージ」で有名な美容家。
私の顔をやわらかくしてくれた恩人です。
こどものころからバスケットボールみたいにパンパンにふくれていた私の顔。
バウンドしたが最後、体育館の天井につきささるほどの弾力でした。
大人になると、そこに“むくみ”が加わって、いつだって、かたくてまんまる。
そんな顔に化粧をしたところでとなげやりになり、化粧をしないと顔もろくすっぽ見なくなる。
長年ほったらかされていた私の顔に、変化をもたらしたのが、田中宥久子先生の「造顔マッサージ」です。
出会いは、雑誌「クロワッサン」。
10代のころから愛読する、40代のための女性雑誌。
そのときの特集が、ちまたで話題になりかけていた「造顔マッサージ」で、田中先生のインタビューなどとともに、自分でできるやり方が紹介されていました。
本来ならば田中先生考案のクリームを使用するのですが、ふだん使っている万能ゲルクリームをぬって、ためしにやってみることに。
指先に力を入れてぐりぐりと。
かたいところを押しながら、首の下のリンパに流してゆく。
最後までやってから、鏡を見てみました。
しまった。
やる前の顔をちゃんと見てなかった。
何がどう変わったのかよくわからないまま、翌日。
出勤すると、上司から、
「どうしたの、顔。化粧してるの?」
してないですよ。
はっ!もしや。
仕事で会った人からも、
「やせました?」
人生でやせたことないですよ。
やはりこれは。
なじみのバーに顔を出したら、
「何かいいことあったんですか?雰囲気ちがいますよ。わかった!お化粧してるんだ!」
ちがいない!
「造顔マッサージ」の効果だ!
田中先生のおっしゃるままに顔をぐりぐりしたら、顔の内部にたまりにたまっていたなにかしらが、どっと流れ出たようです。
それからクリームをぬるときは、自己流に手抜きしながも、ちょいちょいと顔をぐりぐり。
人に会ったりするときは、お化粧がわりに、いつもより入念にぐりぐり。
しばらくさぼると、電車の窓に、自分によく似た知らないおばさんが映っていてぎょっとします。
あわててぐりぐり。
もし先生がいなかったら、私の顔は重力にあらがうことなく、溶けたバスケットボールのようになっていたことでしょう。
田中宥久子さん、良いマッサージを考案してくださって、それを教えてくださって、ありがとうございました。
きっと天国でも、たくさんの女性の口角をあげ、目をぱちりとさせ、ほうれい線を消してゆかれることでしょう。
ご冥福をお祈りいたします。
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